発端はトランプ氏のツイート
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日本と同様に、アメリカにおいても次期政府専用機、正確には大統領専用機「エアフォース・ワン」が更新予定です。
その次期エアフォース・ワンについて、トランプ氏が以下のようなツイートをしたのです。
Boeing is building a brand new 747 Air Force One for future presidents, but costs are out of control, more than $4 billion. Cancel order!
— Donald J. Trump (@realDonaldTrump) 2016年12月6日
このツイートが元で、ちょっとした騒動が起きているようです。
FlyTeamにこのような記事が出ています。
トランプ次期大統領、「エアフォース・ワン」お気に召さずキャンセルか?
次期アメリカ大統領のドナルド・トランプ氏は、更新が予定されている大統領専用機「エアフォース・ワン」について、「40億ドルを超えるコストは制御できない。発注はキャンセルだ!」とTwitterでコメントしました。
大統領専用機は、アメリカ空軍が運用しており、現行機のVC-25(747-200)2機は1990年から運用していますが、老朽化に伴い新しい機種として選定されました。大統領専用機の要件として、4発エンジンのワイドボディ機とされており、候補機はボーイングの747-8とエアバスのA380の2機種からの選定でした。
また、747-8をベースとした「エアフォース・ワン」は現在は発注段階ではなく、アメリカ空軍が導入方針を確定し、ボーイングと技術・製造開発(EMD)契約の交渉を進めている段階で、リスク低減契約を結んでおり、順次、購入や設計、機体改修、テスト契約などを結び、大統領専用機としてアメリカ空軍の基準を満たしていく段階にあります。
アメリカ空軍は、次期エアフォース・ワンの運用を30年間と計画しています。トランプ氏も自身で所有する757-200が1996年製造と20年を経過していますが、こうした運用経験から「エアフォース・ワン」の飛行機としての高額な費用にコメントしたのかもしれません。
ただし、「エアフォース・ワン」は「空飛ぶホワイトハウス」として単に地上との通信を確保するだけでなく、アメリカ軍の指示など厳重に秘密を確保する装備などさまざまな規定を満たすために高額な費用がかかっている面もあり、今後もトランプ次期大統領の発言からどうなるかが注目されるところです。
また、この発言に関して、ボーイング社がコメントを出しています。
ボーイング、トランプ次期大統領のエアフォース・ワン発言にコメント
ボーイングは2016年12月6日(火)付けで、トランプ次期アメリカ大統領がTwitterで「エアフォース・ワン」をキャンセルするとコメントしたことについて、同プログラムについての声明を発表しました。
ボーイングは、747-8をベースとする大統領専用機について、「独自の要件を満たす複雑な軍用機の能力を判断するため、現在1億7,000万ドルの契約を締結している。アメリカ空軍と協力し、アメリカの納税者に最高の価値をもたらすよう、最高の大統領専用機を提供する」と述べるに留めています。
これは、エアフォース・ワンが747-8の貨物機や旅客機ではなく、平時から緊急時まで対応可能な能力を装備する独自仕様の機能を加える改修や機器の搭載など、細部にわたる仕様へ対応を進めているものを改めて説明したものとみられ、引き続きアメリカ空軍、大統領からの要望に応える姿勢を示したものです。
なお、ボーイングはエアフォース・ワンの現行VC-25(747-200)から747-8に更新する際のメリットを説明するページも設けています。その一例では、ワシントンD.C.からVC-25の航続距離は東京までの6,735海里のところ、香港までの7,730海里に伸びるほか、年間で16トンの燃油削減ができることなどをアピールしています。
こんなやり取りが起きるのが、アメリカらしい感じがしますね(笑)
エアフォース・ワンとは?
さて、誤解されることも多いですが、「エアフォース・ワン」とは、アメリカ大統領が、アメリカ空軍機に搭乗した際に使われるコールサインです。
そのため、搭乗した機材に関わらずに、アメリカ大統領が搭乗した際にはエアフォースワンと呼ばれることになります。
大統領専用機として使われているボーイング747-200(VC-25A)は、大統領専用機であるため、「エアフォース・ワン」というコールサインを使うことが多いので、「大統領専用機=エアフォース・ワン」のイメージになっていますね。
余談ですが、映画「インディペンデンスデイ」のラストで、アメリカ大統領を載せたヘリコプター輸送機が「エアフォース・ワン」のコールサインを使い、搭乗員が歓声を上げるという場面がありました。
ボーイング社では、大統領専用機の更新にあたって、公式ページまで作って、更新することのメリットを上げています。
ボーイング社の防衛部門にとっては、アメリカ軍は最大の顧客でもあるので、このあたりのアピールは面白いですね。
結局どうなるのか?
トランプ氏の発言の真意はわかりませんが、大統領専用機は、ホワイトハウスの中枢機能を持った飛行機になりますので、この発現がもとで、白紙撤回なんていうことにはならないでしょうね。
現行の日本政府専用機と米大統領専用機がハワイに揃う
ニュースでも取り上げられていますが、12月26日・27日に安倍首相がハワイを訪問し、そこでオバマ大統領との会談も予定されています。
安倍首相は政府専用機で、オバマ大統領はエアフォース・ワン(VCー25A)でハワイへ向かいます。
両国のボーイング747の姿がハワイで見れますね。
安倍首相、12月26日と27日に真珠湾訪問 ハワイに日米政府747が揃い踏み
安倍首相は2016年12月26日(月)、12月27日(火)の2日間、ハワイのオアフ島を訪問し、オバマ大統領と共に真珠湾攻撃による犠牲者を慰霊します。真珠湾には、大日本帝国海軍が攻撃、撃沈した戦艦アリゾナを記念した「アリゾナ・メモリアル」が所在します。
オバマ大統領との最後の日米首脳会談となるもので、オバマ大統領が2016年5月に広島訪問で「核なき世界の実現」をスピーチしたことを受け、安倍首相はさらなる日米同盟の意義を強化する機会にしたい、と述べています。
オバマ大統領は年末はハワイ島で過ごしており、毎年、VC-25Aのエアフォースワンでハワイを訪れ、休暇を過ごしています。また、首相のハワイ訪問では政府専用機が使用されるとみられます。
ちょっと早い年末時期ですが、このタイミングでハワイに行かれる方がいれば、貴重な姿を見ることができるかもしれませんね。
次期日本政府専用機の状況は?
現在、1機はスイスのバーゼルにて内装工事を実施中です、もう1機はまだ製造途中のようですね。
しばらくすれば、機種はボーイング777-300ER / ボーイング747-8と違えど、日米両政府の政府専用機がどこかで揃う姿が見れるかもしれませんね。
そちらも楽しみです!
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